環境保健に関する主な調査研究(環境庁委託研究費)
水俣病については、昭和31年に公式に認定されてから熊本大学、鹿児島大学、新潟大学等を中心とする研究者によって、原因の究明、水俣病像の確立などの研究が行われ、多大な成果をあげてきた。
現在、認定申請中の者については、申請者が曝露後長期経過しているため合併症などにより多彩な症候が修飾されていること等により、その者の示す症候につき水俣病であるかどうかの判断が困難な事例が多い。このため、本研究事業では新しい知見をもって判断の類型化を行い、また効率的かつ客観的な検査及び審査方法について研究を行う。
カドミウムの健康影響について、これまでのイタイイタイ病に関する科学的知見を収集し、イタイイタイ病に関する病態を整理し、取りまとめる。また、各方面からの今後の調査研究に資するため各種資料の保存のあり方を取りまとめる。さらにカドミウムの曝露の状況について調査する調査研究を実施する。
最近、花粉症による患者が急増し、社会問題となっており、なお増加の傾向にある。特に、スギ花粉症は毎年2月から4月にかけて多くの人々を悩ませている。スギ花粉症に対するIgE抗体産生が浮遊粒子状物質により高まるアジュバンド効果が報告されていることから、詳細については未だ不明である。
近年、環境中に存在する微量な化学物質の曝露により、神経系や免疫系の異常をはじめとする様々な健康影響がもたらされる可能性が指摘されており、このような健康影響については、欧米においてMultiple
Chemical Sensitivities(本能性多種化学物質過敏状態)として議論がなされているが、医学的には不明な点が多い。
人や野生動物の内分泌作用を撹乱し、生殖機能障害、先天奇形等を引き起こす可能性のある内分泌撹乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)による環境汚染は、科学的には未解明な点が多く残されているものの、生物生存の基本的条件に関わるものであり、世代を超えた深刻な影響をもたらすオソレガあることから環境保全上の重要課題である。
近年、環境中の化学物質などの因子が人間の体内に取り込まれて、健康影響を及ぼす可能性に関する問題に対する社会的関心が高まっている。このような中、ある集団から採取された人体料から環境因子の曝露状況やその影響について有害な影響が出る前に早期に把握し対策等を実施する予見的手法についての開発が求められている。このため本調査研究においては、このような予見的手法の開発を行い、わが国で導入可能なシステムを検討構築する。 |