平成16年度 地域保健総合推進事業



I 地域保健総合推進委員会及び分科会設置・運営に関する事業
 地域保健総合推進事業を適正且つ効果的に実施するために事業ごとに分科会及び委員会を設置し、企画・調整等を行うものです。

II 地域保健研究部分科会
 1. 全国衛生部長会協力事業
(1) 覚せい剤等乱用者の再乱用防止対策に関する研究
 覚せい剤等乱用者の依存症治療後のアフターケアは薬物関係法令には規定がなく、精神障害者としての枠組みの中で精神保健及び精神障害者福祉に関する法律で対応している。しかし対応には高度で専門的な知識が必要であるため、アフターケアが不十分になってしまうことも多く、再乱用者の発生を防ぎきれていない。そこで、方の枠組みを超えた新たな再乱用防止対策を検討し、県と政令指定都市、関係機関の連携による支援体制、薬物相談窓口のあり方を提言し、覚せい剤等乱用者の再乱用防止に寄与することを目的として実施するものです。
(2) 地域保健活動の推進を目指した保健事業の包括的活用に関する研究
 奈良・和歌山県においてモデル市町村を定め、地域の21計画に沿った高血圧・糖尿病対策を柱とする保健事業の評価体制の整備を行うため、基本健康診査に尿中食塩排泄量と健康度評価を加え、各指標の推移から保健事業を見直すことを目的に実施するものです。
(3) 研修医から見た新医師臨床研修制度(地域保健分野)の在り方に関する研究
 平成16年度から新たな医師臨床研修制度が開始されており、平成17年度からは保健所でも地域保健・医療分野の研修の一環として、研修医の受け入れが始まる予定である。ユーザー側(研修医・医学部学生)の視点から地域保健・医療研修の課題を抽出し検討するとともに、指導医養成講習会の効果的な実施方法について検討するものです。
(4) 大都市における精神保健福祉施策に関する研究
 大都市におけるホームヘルプ事業の現状と事業の評価方法、本事業における支援センターの役割について調査研究を行い、精神障害者居宅生活支援事業の推進に寄与することを目的に実施するものです。
(5) 青年女子における風疹ワクチン摂取率及び抗体価の疫学的検討と風疹による流早産、先天異常の予防方策検討
 風疹が流行した場合、妊娠可能年齢女性の風疹罹患の可能性について調査し、併せて、先天性風疹症候群の発生を予防するためにとるべき対策について検討するものです。
(6) 動物由来感染症対策の広域ネットワークの構築に係る研究
 北部九州の行政機関の関係者からなる研究班を組織し、動物由来感染症の発生に備えた広域ネットワークを構築し、感染症発生前(平時)の連携体制及び発生時の協力体制(情報伝達ルート、広域的疫学調査)を構築するとともに、リスク評価を行い、特に発生の可能性が高い感染症については、具体的な対応マニュアルを作成などを実施するものです。
(7) 保健所を中心とした衛生行政機関の連携による健康危機管理機能強化に関する研究
 各々の自治体における保健所、地方衛生研究所、本庁が一体となった健康危機管理体制の実情を比較・検討するとともに、一昨年のSARS事例や今冬の感染性胃腸炎事例にみられた、県境を越えた広域での健康危機管理対応の在り方についても検討を行うものです。
(8) 医師不足地域におけるその実態と対応に関する研究
 単位人口当たりの医師数が全国平均を下回っている、茨城県、岩手県、青森県、ならびに栃木県を対象に、医師不足の実態について、・既存の資料・調査結果の解析、・病院を対象としたアンケート調査、・臨床研修医を対象とした意識調査を実施し、要因の解析を行うとともに、行政における対応策について検討するものです。
 2. 全国保健所長会協力事業
(1) 大規模災害や新感染症等における健康危機管理体制の構築と保健所機能の検討事業
 「大規模(自然)災害及び新たに発生する感染症疾患などの健康危機」に対して、保健所が事前に準備すべき事項及び健康危機発生時に果たすべき役割について具体的検討を行い、今後保健所が地域の実情に即して、地域健康危機管理ガイドラインに沿って、具体的な対応が可能となる体制の構築に寄与できる指針を得ることを目的に実施するものです。
(2) 特徴的な健康被害の発生に備えた保健所の危機管理機能強化について
 地域住民の健康と生活の安全と安心の確保に向けて、・特徴的な施設を有する保健所の機能強化、・保健所が担うべき健康危機管理機能、・市町村におけるSafety Promotion(SP)のモデル事業化の3つの取り組みを行うものです。
(3) 児童虐待防止を目的とした養育支援家庭の早期発見・介入・援助のシステムづくりに関する研究
 平成12年に児童虐待の防止等に関する法律が施行され、保健所を始めとして関係機関が虐待防止に向けて取り組みを行ってきたが、児童虐待はあとを絶たない。虐待防止に対する保健所の役割は大きく、保健所はさらに具体的な取り組みを強化する必要がある。本事業では非常に危険性の高い養育力不足の家庭に対する取り組みを行い、虐待予防活動の実践的プログラムの検討を行った。 
(4) 児童虐待予防対策における保健所の役割に関する研究
 保健所では母子保健事業や精神保健対策事業の中で児童虐待の発生予防から早期発見、早期対応、そしてアフターケアーまでの総合的な推進し、市町村の児童虐待防止ネットワークの構築、推進に関して、専門的、技術的立場から支援する役割を明らかにし、その普及を目指すものです。
(5) 地域における思春期・性感染症対策の展開に向けての基盤づくり事業
 昨今思春期の性の課題を解決するために注目されているピアカウンセリング手法及び、HIV/AIDS医療を対象に、地域における基盤づくりの在り方を検討するものです。
(6) 新医師臨床研修「地域保健・医療」の実践的な研修方策に関する研究
 平成17年度から全国の保健所では新医師臨床研修「地域・医療」が始まるが、保健所は教育施設としての体制整備ができていない。そこで、平成15年度に作成した標準テキストの活用の評価を行うとともに、受入に向けて課題の抽出、さらにはモデル的な研修の試行、研修指導者の育成を行うなど、実践的な研修方法の検討を目的として実施するものです。
(7) 地域における感染症情報ネットワークシステム開発
 様々な感染症について保健所を中心とした地域を単位に小規模ながらも有益性の高い感染症情報ネットワークシステムを構築することを目的として実施するものです。
(8) 精神保健対策の在り方に関する研究
 保健所における精神保健対策の在り方を、・危機介入、・地域の自殺予防、・職域のメンタルヘルス対策、・精神病院実地指導の観点から検証し、危機介入マニュアルや実地指導マニュアルを作成することで精神保健対策の推進に寄与することを目的に実施するものです。
(9) 母子保健医療関係者と協働した保健所の妊産婦のたばこ・アルコール対策
 「妊産婦のタバコ・アルコールゼロ」を目指し、妊産婦の喫煙と飲酒状況の実態を捉え妊娠・育児中の禁煙・禁酒の啓発推進を図るものです。
(10) 療育支援ネットワーク事業
 障害児の療育にあたっては、保健・医療・福祉・教育など、多くの分野からの支援を必要とすることから、保健所は、本事業を通じて、市町村の障害担当課や母子保健の担当課、医療機関、地域の療育関係者等との連携のもと、個別支援の充実(地域における力量向上)や地域ケアネットワークづくりについて取り組み、地域の療育支援機能の充実を目指すものです。
(11) 災害時の保健所業務マニュアル作成と健康危機管理ネットワークづくりモデル事業
 保健所の業務として健康危機管理体制の充実が叫ばれている。それは災害時においても同様である。近年、災害の中でもとりわけ大規模地震は、各地で発生が危惧されている。そこで、本事業では「時系列業務マニュアル」(震災版)を作成し、万が一の際の体制整備に務めることを目的に実施するものです。
(12) 住民から見た保健所活動評価事業
 保健所事業をわかりやすく一般住民に知らせることによって、保健所を住民の側から評価し、今後の保健所活動がさらに充実することを目的に実施するものです。
(13) 保健所における一般業務に関するシミュレーション用教材の作成
 保健所職員の判断力・能力向上のためには、業務に関連する研修を机上演習・グループワーク形式で効果的に実施することが有用であり、人材育成研修等で活用できるシミュレーション用教材をケースメソッド的な考えに基づいて作成することで、保健所職員の専門性確保・能力向上に資することを目的に実施するものです。
(14) 保健所におけるPTSD対応マニュアルの作成
 阪神淡路大震災等にみられるように健康危機管理対応の後には必ずPTSDへの対応が必要となる。そこで、本事業では、全国の保健所におけるPTSD対応の現状についてアンケート調査を実施するとともに、これまでの大規模災害や事件、事故における「こころのケア」に関する対応事例を調査し、保健所におけるPTSD対応のポイントを抽出して検討を行うものです。
 3. 全国保健師長会協力事業
(1) これからの地域保健福祉対策における都道府県保健所と保健師活動の在り方に関する研究
 市町村から見た保健所保健師活動等の現状と保健所活動への期待について現地調査を行い、前年度の調査結果と突き合わせて都道府県保健所保健師が役割機能を果たす上での課題と今後の活動の在り方について考察し提言をするものです。
(2) 「保健師学生の実習指導に関する在り方」調査研究事業
 保健師の基礎教育の基盤ともいえる臨地実習の在り方は、その重要性が指摘されているものの、実習の在り方が明確にされないまま、今日に至っている。そこで効果的な保健師臨地実習を実施するため、大学側・地域側の実習体制、臨地実習に関する課題を明らかにするための調査を実施し、今後の実習指導体制の在り方について検討をするものです。
(3) 保健活動展開過程見直しプログラムの開発
 行政に働く保健師が保健活動の展開過程において保健師として求められる能力を獲得できるよう、OJTで活用できる事業評価の視点や保健師の関わりを明確にする評価シートを開発し、それを活用し各自治体のリーダー保健師が有効な人材育成に取り組めるよう普及を図ることを目的に実施するものです。
(4) 児童虐待の予防の推進及び新たなニーズに対応する母子保健事業に関する研究
 児童虐待予防対策及び母子保健事業の実施状況を明らかにし、虐待予防を推進するにあたっての課題や新たな母子保健事業の在り方を検討するために実施するものです。
(5) 政令市における保健師の現任教育に関する研究事業 〜新任期から管理職期まで〜
 政令市等において保健師の専門性及び行政能力を現任教育の中でどう体系化していくかを検討することを目的に実施するものです。
(6) 精神保健福祉活動と保健師活動
 都道府県・保健所・精神保健センター・市町村との連携・支援状況を明らかにし、今後の精神保健福祉事業の方向性を探るために実施するものです。
(7) 痴呆性高齢者施策における介護予防分野保健師の役割に関する研究
 認知症の「早期発見・早期対応」における保健師活動の現状と課題、及び介護予防分野の保健師が果たす役割を明確にすることを目的に実施するものです。
(8) 保健所における実習受け入れ評価と今後の在り方
 保健所で行われている実習・研修受け入れの現状を調査し、今後効率的に教育支援を進めるための方向性を検討することを目的に実施するものです。
(9) 市町村での効果的な保健活動を推進するための保健師の適正配置に関する研究
 効果的な保健師の活動はどのような条件で保健師の配置や活動を推進しているか事例をもとに検討し、保健師の適正配置に必要な条件を明らかにすることを目的に実施するものです。
 4. 市町村保健センター等支援事業
(1) 市町村保健活動促進充実に関する調査研究事業
 市町村保健師の活動環境改善のための意識調査及び保健師リーダー等の資質向上を図る研修を実施し、市町村保健活動の促進充実にしすることを目的に実施するものです。
(2) 市町村保健センター活動支援事業
 市町村におけるヘルスプロモーションの推進を図るため、活動拠点となる保健センターの機能強化を目的として、保健センターの現状及び在り方の調査研究ならびに新たなスタッフ研修の方法について検討、及び、保健センタースタッフのためのセミナー実施とフォローアップを実施し、市町村における計画策定・実施・評価の推進を図るものです。
 5. 地域リハビリテーション等に関する事業
(1) 行政の理学療法士・作業療法士が関与する効果的な事業展開に関する研究 〜介護予防の視点から〜
 介護予防の一翼を担う理学療法士、作業療法士の関与実態を平成14年度に提案した「業務過程把握シート」を用いて調査し、問題点を抽出し、検討を加えると共に、個別の介護予防アセスメント、介護予防プラン及び介護予防マネジメント、事業評価などについて理学療法士、作業療法士の効果的な介入モデルを提示することを目的に実施するものです。
 6. その他事業等
(1) 地方分権と保健衛生行政に関する調査研究
 保健所業務の現状や組織形態、公衆衛生医師の育成等について調査し、「今後、保健所に求められる機能」や「技術行政能力を発揮するための環境整備」について分析し、「今後、保健所が担うべき役割」や「保健所機能の充実強化を図るための環境整備」に関して提言を行うものです。
(2) 保健所等に勤務する医師の業務に関する調査研究
 全行研会員を対象とした公衆衛生医師・歯科医師の処遇、業務内容、研修体制について調査を行い、公衆衛生医師・歯科医師に求められる資質とその向上の検討に資することを目的に実施するものです。
(3) 市町村合併における保健活動の推進に関する検討会
 合併市町村における合併前後の保健活動の実態及び保健所・都道府県の支援状況を明らかにし、今後合併する市町村及びそれを管轄する保健所に有用な知見を提供することを目的に実施するものです。
(4) 新任時期の人材育成モデルプログラム作成事業
 平成15年度の「新任時期における地域保健従事者の現任教育に関する検討会報告書」で明示された新任時期における能力と例示された到達目標、行動目標、能力の習得方法をもとに、各自治体の人材育成体系と照らし合わせて再調整し、モデル人材育成プログラムの作成を行うものです。
(5) ホームレスの健康支援活動に関する検討会
 ホームレス支援法に基づく全国実態調査からその必要性が指摘され、保健所等において健康相談等を実施するもので、より実効性のある事業として発展させていくため、先進的にホームレスに対して健康支援に関する事業を行っている自治体等の事業例を全国から幅広く収集し、その評価を行い、事例集を作成するものです。
(6) 「健康日本21」を進める地区衛生組織活動推進事業 〜禁煙活動U〜
 地区衛生組織の指導者に対し、中央研修会、ブロック別活動推進事業協議会などを通じて国の政策(方針)や情報(動向)を伝達講習し、全国各地での健康づくり研修会、健康モニター事業、健康意識調査、などの事業を積極的に支援して「健康日本21」国民運動の推進に努めるものです。
(7) 栄養改善業務の効果的な推進に関する検討事業
 平成15年度に実施した全国都道府県と保健所の管理栄養士に関する実態調査から得られた諸課題の解決とその具体的な方向付けを検討協議するシンポジウムを開催し、地域保健専門技術職員としての行政能力向上を目指すことを目的に実施するものです。
(8) 地域保健活動の向上に対する公衆衛生学専門資格の貢献に関する調査研究
 公衆衛生従事者の資質向上に対しどのようなことを実施すべきかを日本公衆衛生学会員約8000人を対象に調査を行い、その結果から学会としての今後の対策に資することを目的に実施するものです。
(9) 地域保健推進特別事業事例のフォローアップ調査事業
 「地域保健推進特別事業」の経年的・地域的傾向等について把握するとともに、継続状況に関するフォローアップ調査を行い、本事業実施による地域保健推進へのインパクトや地域のインセンティブ向上への貢献等に関する状況を整理するものです。
(10) 健康危機管理における地方衛生研究所の広域連携システムの構築
 衛生行政の科学的かつ技術的中核機関である地方衛生研究所の連携強化のため、全国の地方衛生研究所を地域別に分け、各地域で健康危機管理についての協議を行い、感染症、食の安全確保、テロ対策情報分析のいずれかの専門委員会を設け、専門分野での情報交換、研修等を行い、連携ネットワークの形成を試みる。さらに、広域連携システムの構築の一環として、2地域で高度検査分析実務講習を含む専門実務モデル事業を実施するものです。
(11) 感染症実地疫学専門家の機能及びネットワークに関する調査研究
 複数の自治体が係わる広域の集団感染症事例(食中毒を含む)の疫学調査や対策を考える上で、実地疫学専門家の養成、配置、ネットワーク等は重要な問題である。そこで、FETP(Field Epidemiology Training Program)の有用性や課題について評価し考察をするものです。
(12) 「健康日本21」地方計画推進・評価事業
 「健康日本21」の推進のために必要な地方自治体における健康増進計画に盛り込むべき具体的内容及びその推進体制等を明らかにするために、・計画の策定プロセス、・具体的な計画内容、・推進・評価体制、・全体を通じた体制整備等の情報を収集・分析・評価することにより、都道府県、市町村それぞれに策定されるべき計画のモデルを提示することで、地方自治体における「健康日本21」推進の方策を提言するものです。
 6. 保健情報分科会
(1) 地域保健文献情報提供事業
 保健所等の調査研究機能、企画機能や市町村の地域保健活動を推進するために必要な地域保健総合推進事業の報告書等の文献や公衆衛生関係情報の提供を行うものです。
(2) 食品薬品情報の収集提供事業
 食品、薬品及びその他の化学物質の安全性に関する最新の研究論文の抄訳を作成し、「食品・薬品安全性研究ニュース」として全国の衛生行政機関に研究情報を提供するものです。また、日本、コーデックス及び米国の食品中残留農薬基準の相互参照データベースを最新のデータを取り込んで改訂し、CD−ROMの形で提供するものです。
(3) 地域保健活動普及事業
 地域保健推進特別事業は、市町村における総合的な体制整備、保健所の機能強化等が求められる中で、地方自治体(都道府県・市町村)における事業の推進に資するモデル的な事業等の実施を支援し、地域保健対策の推進に寄与することを目的として、地方公共団体において数多く実施されてきたが、それらを地域保健関係者に活用していただくよう参考となる事例を選定し、「地域保健推進特別事例集」としてまとめるものです。
 7. 国際研修協力事業
(1) 国際協力事業
 
世界公衆衛生協会連盟に加盟するとともに、同連盟の年次総会に出席し、公衆衛生に関する情報の収集、交換そしてその活動に対し協力を行うとともに、公衆衛生に関する日本の法律及び行政機関の組織・構造について英訳を行い世界公衆衛生協会加盟国及び関係機関に配布を行うものです。

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